チェルノブイリの教訓は生かされているか?

チェルノブイリ原発事故

1986年に起こったチェルノブイリ原発事故により、大気や土壌、水が放射能で汚染されました。特に、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの3ヵ国が最も大きな被害を受けたということです。

当然ながら、それらの国で暮らす人々が口にする食材も汚染されてしまったので、いろいろな健康被害につながる結果となってしまいました。

今、チェルノブイリ原発事故で起こってしまったことも教訓にして、福島原発事故により放射能汚染された食材について考え、解決策を探していく必要があるのではないでしょうか。
ここでは、チェルノブイリ原発事故で放射能汚染を受けた食材のうち、まず、魚介類の状況についてのある調査報告を挙げておきます。

魚介類のセシウム137に関する調査

肉食種の魚が草食種の魚を食べて濃度が高まる

ロシアのある研究所では、放射能汚染を受けた河川に生息している魚のうち、食用として捕獲されている魚にセシウム137がどの程度蓄積され、原発事故から年数が経つにつれてどのように変化していったかを調査しました。

セシウム137の濃度が最大値を示したのは、チェルノブイリ原発の冷却池に生息する魚の放射能の濃度を原発事故の直後に測定した時で、魚1㎏あたり500kBq(キロベクレル)であったということです。
その後、年月が過ぎるにつれてセシウム137の濃度は低下しているようですが、低下する速さは、魚の種類や生息する場所によって異なるとのことです。

例えば、事故から数ヵ月間にわたって、キエフ貯水湖に生息する魚のうち草食種の魚では、カワカマスという肉食種の魚の10倍ものセシウム137の濃度が測定されたようです。
しかし、事故の翌年以降は、カワカマスやパーチ(カワメバル)等の肉食魚に、高い濃度のセシウム137が計測されるようになったとのことです。このような肉食魚では、生殖臓器の異常が多く見つかっているようです。

一般に、放射性物質は水底のくぼみや穴の部分に溜まりやすく、そのような場所に生える海藻等は放射能を吸収しつつ生長することになります。草食種の魚は海藻等を食べることにより放射能を体内に取り込み、さらに肉食種の魚が草食種の魚を食べることで、魚の放射能の濃度が高くなっていくとされています。

水の出入りがない湖では濃度が高いまま

また、チェルノブイリ原発から100km以上も離れている、ロシアのブリャンスク州やベラルーシのモギリョフ州の内陸部では、水の出入りがない湖のセシウム137の濃度が高いままであるそうです。

それから、食用ではありませんが、ナマズが体長3mを超えるほどに巨大化して、チェルノブイリ原発のそばを流れる川で増殖しているという事実もあります。

ナマズは食物連鎖(色々な生き物の間での、食う、食われるの関係)の頂点にある生き物ですから、色々な生き物を食べて生きています。そのため、それぞれの生き物の体内に蓄積された放射性物質がナマズの体内で濃縮され、遺伝子に異常をきたして巨大化したのではないかとも考えられているようです。

キノコは放射能を吸収しやすい

福島原発事故の後、関東でシイタケを栽培している農家の男性が、東京電力に強く抗議したということです。
キノコは放射能を吸収しやすいと言われていて、福島だけでなくチェルノブイリ原発事故の後もずっと、キノコの放射能汚染は続いているようです。

ウクライナは肥沃な土壌に恵まれているため、森に少し入るとキノコをふんだんに収穫できるそうです。
道路脇では、キノコを売る人の姿も見られ、放射能の測定をした上で販売しているので問題はないと言って販売していることもあるようです。

しかし、ある日本人が調査のため購入して持ち帰って放射能を測定したところ、セシウム137が、日本では出荷停止となる100Bq(ベクレル)を超える132Bqも検出されたということがあったのです。

ウクライナでは、キノコの放射能の基準値は500Bqで、日本の基準値とは大きく異なります。
キノコの他に、ベリー類(いちごやラズベリー、クランベリー等)も放射能汚染を受けやすいとされています。

チェルノブイリ原発事故が風化されてしまう

チェルノブイリ原発事故が1986年に起きてから、既にかなりの年月が流れています。やはり、どんな重大な事故でも、だんだんと風化していくのはやむを得ないのでしょうか。

深刻な被害を受けていない、ウクライナの首都キエフの人々の中には、事故のことを思い出すのは、記念日となっている4月26日だけであると話す人もいるようです。

しかし、そのような人々がいる一方で、放射能汚染がひどくなかった地域でも健康被害が増え続けているという、見逃せない事実もあるとのことです。日々の食材を買い求めるだけの経済力がないため、自分で栽培した野菜や野山で取ってきた山菜等、放射能汚染されている食べ物をずっと食べ続けるしかないことも理由のようで、ガンや心臓の疾患、虚弱体質を持つ子ども等の増加が問題になっているそうです。

日本でも、原発事故が起きた地域で栽培された野菜等を食べて復興に導こうという呼びかけがあったりしますが、もちろん復興には支援したいですが、食材の安全性が明確に示されていない限り、手放しで安心して呼びかけに応じることはできないと言えるのではないでしょうか。
チェルノブイリの教訓を生かすことなく原発事故を風化させ、早々と福島原発事故が収束したと考えることは、あまりにも危険であると思われます。

 

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